「負」動産を相続させないための任意売却 相談事例ケース6 収支がマイナスになった収益物件の売却相談

 

あるご夫婦から、所有するビルについての相談でした。

そのビルは築25年以上経過しているものの、満室であれば借入金返済額+管理費よりも賃料収入がなんとか上回る状況。

しかし空室がでたり突発的な修繕費などが発生した場合、収支がマイナスになってしまう状況で、少し前まで空室が続き、返済期日に遅れながらも手元資金で返済を続けていたため、これ以上費用が発生した場合は維持管理ができなくなるギリギリの状況でした。

しかも、ご夫婦ともに病気を患っており「自分達が亡くなった際に子供たちにこの【負】動産を残すわけにはいかない」という切実なご相談でした。

 

まずは物件の調査を行い、査定した金額と返済予定表の借入残高を比較。

すると売却想定価格を借入残高が上回り、自己資金もないため売却する(買主に引き渡すために抵当権を抹消する)こともできず。

レントロールを作成して収益や維持管理費の見直しをシュミレーションしても毎月の返済額の負担が高く、改善策は見出せず。

現在の返済・収入状況では借換えもできません。

そんな折、ご夫婦とお話をしていると支払いが何度か遅れた時、金融機関担当者から売却・一括弁済の提案があったと言う話しを伺い、担当者に面談を申し入れました。

 

ご夫婦は担当者に病気のことは伝えていなかったため、事前に状況を説明すること、場合によっては支払いを停止して金融機関が本腰を入れてから再度交渉することを打合せして金融機関担当者と面談へ。

担当者に現在のキャッシュフローと資産状況、査定報告書、レントロールを説明し、ご夫婦ともに罹患している状況をお伝えし、場合によっては支払いを停止するので、競売申立をして頂く事になるかも知れないが、任意売却で処理させて頂けないかとお願いすると後日、協力的な回答が得られました。

 

「絶対的な金額ではありませんが○○万円以上の弁済を頂ければ任意売却に応諾できる可能性が・・・」と決まり文句が出ました。

 

これは「残債よりも低い金額で抵当権を抹消する事になるため、確実な数字ではないが、これ以上の金額(返済)であれば稟議が通せるかもよ?」と読み取れる回答です。

 

提示された金額であれば、転売ではなく長期保有を目的として購入する買主であればそれなりの利回りが確保できそう。

しかし、耐用年数やテナントビルであること、土地の境界が画定できないこと、隣地との越境問題、入居者の転貸など諸問題もあり、融資を利用する個人の買主では購入は難しい。

時間もないことから狙いを絞り、その金融機関と取引がある貸しビル業を営む地元の不動産業者に購入を打診するとスムーズに話しがまとまりました。

 

金融機関は債権を回収して既存取引先の優良顧客に融資ができ・・・

買主は割安で現況満室の収益物件を地元で取得でき・・・

何より売主は厳しい返済と相続の不安から解放され、大変喜んで頂けた事で、私がモットーとする「皆がハッピー」な取引ができました。

今回のような任意売却はもちろん、不動産の購入・売却は答えも正解もなく、結果でしかありません。

個々の物件状況やお客様の状況・お考えにより結果や満足は異なるものだと考えています。

だからこそ、これからもお客様との会話を大切にしたいと思います。

些細なことでもお気軽にご相談下さい。