売ることができなかった不動産 相談事例ケース3 認知症の親族の土地売却

これからの世の中で大きな問題になると感じている「認知症と不動産」のお話です。

相談者は「年老いた親御さんを介護施設に入所させるために本人の自宅を売却したお金で今後の資金に充てたい。」という要望でした。

ここで問題なのが、介護施設に入る要件の一つである「認知症と診断されている」事実。

介護施設に入ってからゆっくり自宅を売却したいと考え、先に認知症の診断を受けてしまうと「所有者本人が認知症のため、売却に関する意思・行為の判断ができない」とみなされます。

契約まではできたとしても登記の段階で「本人の意思確認」ができず登記(買主に所有権の移転)ができないため取引が成立しない、下手をすると契約の違約扱いで違約金が発生することになります。

「子供が親の面倒をみるために売却するのに何が悪い!」

私もそう思いますが、あくまで本人の財産保護を目的とした法律なので仕方がありません。

悪用したり詐欺行為をする人、他の相続人の同意を得ず,本人の承諾も得ず勝手に売却してしまう人などトラブルが絶えなかったのでしょうね・・・

認知症の状態にもよりますが、診断されているとまず取引はできないケースがほとんどです。私も何度かお手上げ状態になりました。

(怖いのは認知症の診断がなくても意思確認でちゃんと質問に回答できないと司法書士に断られてしまう事かも知れません。ちょっとぼけちゃったかな?程度の状態でもそうなる可能性は高いです)

何とかしてあげられないものか?と調べたり専門家に相談したりしながら認知症と診断されていても取引できた事は数回ありましたが、これは状況によって話が変わるため「こうすればできる」という方法は未だに見つかりません。

調べた中で「後見制度」の話が良く提案されましたが、結構な費用が掛かることや後見人が金銭の利用目的などについて裁判所に許可をもらわなくてはならないため、後見制度を利用したら売却の許可が下りず、逆に現金・預貯金などの資産も管理されてしまい大変な状況になる可能性が垣間見えてしまいました。

今考えられるのは相続対策としてご健在のうちに「家族信託」を利用するのが一番使い勝手は良さそうですが、認知症と診断されてからではこれも間に合いません。

私も家族信託について学んでおきたいと考えて協会会員にはなりましたが、まだまだ実務としては難しいと感じています。

小難しいお話になりましたが、最善策は「早めの準備」これに尽きます。

「近い将来このような事態になりそうだな・・・」とお考えであれば、早めに相談をして対策を立てて下さい。そうすれば回避できる事も選択肢も増えるものと考えています。